第1回ビデオゲーム・カンファレンス(2月2日、立命館大学)

aesthetica2009-01-09

クリスマスだの正月だの諸々の報告を時間の都合上すべて吹っ飛ばして、2009年一発目はカンファレンスの御案内です。

立命館大学アートリサーチセンター
グローバルCOE「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」
第1回ビデオゲーム・カンファレンス
《「遊び」としてのビデオゲーム
2009.2.2 (Mon) 13:00〜
第一部「シンポジウム──ビデオゲームをいかに学問するか」
[パネリスト]
上村雅之立命館大学大学院教授/任天堂アドバイザー/元・任天堂第二開発部部長)
サイトウアキヒロ(立命館大学映像学部教授/株式会社ダイス取締役)
小孫康平(関西国際大学人間科学部教授)
中島誠一(早稲田大学東京工芸大学非常勤講師/元・ニッポン放送
[司会] 細井浩一(立命館大学映像学部教授)
第二部「ワークショップ──ビデオゲームを学問してみる」
[コーディネーター] 吉田寛立命館大学大学院准教授)

立命館大学はすでに数年前から、任天堂との協調関係を持って、テレビゲーム(学術語ではビデオゲームという)研究の西の中心となっているのですが(東の中心は本郷の情報学環および東京工芸大学)私もそこにちょこっと混ぜてもらうことになりました。
言うまでもなく私はゲーム研究者として立命館に赴任したわけではありませんので、私がコミットすることは、先方にとっても、こちらにとっても、「思わぬ偶然の副産物」なのですが、私自身、美学=感性学という学問の効用を吟味する対象として、ゲームは実はすごくいいのではないか(芸術が対象だと作家性や歴史や価値の話がややこしくて感性的次元に中々議論がいかない)と最近本気で考えているので、場合によっては、「鞍替え」しても良いかなと思っています。
学科の同僚(といっても孫もおられる人生の大先輩ですが)である上村雅之氏(元・任天堂の技術者、ディスクシステム等を開発)との出会いも、『ゼルダの伝説』に熱狂したファミコン世代としては、ほとんど運命的です。
とはいえ、私はゲーム研究者としてはまだ完全に素人なので、今回は「様子見的」あるいは「実験的」に参加させて頂くことにしまして、これがうまくいくかどうかで今後の進む方向を決めようかなと思ってます。
今鋭意準備中なのですが、アメリカを中心とするゲーム研究の歴史・方法論の多様性をざっと概観し、そこでの表象理論(theories of representation)の位置づけを確認し、日本においてその領域の研究(者)が欠けていることを指摘し、一例として自分達の研究を(表象の学生達と一緒に)紹介する、というものです(これは今回のために準備したプロットなので、細部は今後さらに詰める必要ありです)。主たる対象はファミコン時代のソフトの膨大な分析です。表象の元・院生で、尾鼻さんというおそらく日本で唯一のゲーム音楽のアカデミックな研究者(マックス・スタイナーの映画音楽で博士学位取得済)には音関係の話をお任せするつもりです。また第一部で話して頂く一人の小孫さんは、やはり先端研表象領域の院生なのですが、すでに本務校では学科主任もしておられる心理学の教授で、人生第二の博士号を取りにうちに来ています。こんな「院生」もいらっしゃるのよ、という、ちょっと先端研の宣伝です(入試出願の時期なんで、一応)。
「ゲーム研究」とかいって、有名人(過去のスター達)を集めてシンポジウムだけやっていても「研究」として先は無いでしょ、という現状への批判意識がちょっぴり(ナイショで)入っています(余談ですが、個人的には、ポピュラー音楽研究のここ十数年の動向・展開が、今後のゲーム研究にとってかなり示唆的・参照可能かなと思ってます)。とにかくやってみる、という場を与えて下さった関係者の皆様には感謝いたします、って無事に終わってから言おうね。
入場者制限するみたいですが、事前に連絡を頂ければなんとかできると思いますので、関西方面の方でゲーム研究に興味がある方は、ぜひいらして下さい。関東からも、ぜひ。
そのうちGCOEのサイトに公式な案内が載ったら、またお知らせします。
ヴァーグナーの本も並行して頑張って仕上げてますので、その筋は御安心を。
[1.15追記]
案内出ました。ここに書いた内容と変わりませんが、一応。
http://www.arc.ritsumei.ac.jp/
[1.31追記]
プレスリリース。ひとまず地元の京都新聞(紙面+ウェブ版)には載りました。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009013100104&genre=G1&area=K00
[2.7追記]
終了したのでGCOEの頁はこちらに移動。
http://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/GCOE/WTSG/2009/02/1-1.html
http://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/GCOE/WTSG/uemura/2009/02/