大学非常勤教員の科研費取得について

そういえば、いつの間にか10月、すなわち科研費申請書類作成の季節ですね。
私は今年は珍しく、申請書類を書かなくて良い年なので、数年振りに楽してますが、例年この時期はたいへん消耗・荒廃しておるわけです。
最近では、本務校の無い非常勤教員でも、非常勤先の大学で研究者番号(文科省側が国内全ての研究者に割り振る番号)を取得して、科研費の申請ができるようになりました(私の身の回りでそうなだけで、全ての大学でそうかは知りません)。
(ということは同時に、本務校が無くても、他の人の科研費プロジェクトの研究分担者にもなれることをも意味します。)
これは大変よろしい制度なのですが、一点、落とし穴とも言える注意点があります。
それは、非常勤先が「勝手に」研究者番号を発行・付与して、それを非常勤教員の側が知らずにいる、というケースです。
これの何がマズイかというと、最近できた「若手スタートアップ」という種目(過去二年の間に研究者番号を初めて取得した人だけが応募できる)に、下手すると応募できなくなる危険性があるからです。
非常勤先が数年前「勝手」に自分に研究者番号を取得してくれて(これはサービスとして素晴らしい)、かつこちらにそれを知らさずにいて(これが致命的にダメ)、いざ「若手スタートアップ」に応募しようと思ったら、現職校の事務に「えっ、あなた数年前にもう研究者番号が発行されていますよ。よって申請資格ありませんよ。」と言われたという信じられないようなケースが、実際に私の身近にあります(あれ、その後どうなりました? ヒドイ話なのでたまに思い出して気になってます)。
ですから、そういうことが起こらないように、あるいは、そうなってから怒らないように、本務校のない非常勤教員の人は、多少面倒で気が引けても、非常勤先に確認した方がいいと思います。向こうはサービスだと思って、すべての非常勤講師の分を「わざわざ」取得して「あげている」という意識でしょうが、「若手スタートアップ」という種目がある以上、こちらはいつそれに応募するかというタイミングが大事ですから、勝手に登録されてはたいへん困るわけです。
私の場合は、助手になったときに初めて研究者番号を付与され、その年に「若手スタートアップ」の種目が作られたので、その前に長く非常勤教員をやっていたとはいえ、とくに何の問題も起こりようがなかったのですが、今後は私と同様なルートを経る人も要注意だと思います。
こう世知辛い世の中なので、業績一覧表に科研費取得経歴がさりげなく書かれていたりすると「この人、外部資金持ってこれる人なんだ、キラリーン!」と、それを見ている人達の目がランランと輝き出し、その研究者の評価が一気に三倍(当社比)くらいあがることもありえます。もう、きわめて情けない話ですが。皆さんも目的と手段、過程と結果、必然と偶然をあくまでも混同しない程度に頑張ってくださいね。あっ、それはオレのことか。