「電車女」というのはいるのか?

年始に珍しくいろいろテレビ番組を見てたら経済評論家みたいな人が出てきて以下のような予想をしてました。

「今年はいわゆる「萌え」市場がさらなる成長をみるでしょう。現在、三十代男性の未婚率が急上昇していますが、彼らの多くは現実の女性をますます恋愛対象として見なくなっています。なぜなら現実の女性は彼らの意のままにならないからです。自分に従順な女性、投資をすれば確実に振り向いてくれる女性、それがいわゆる「萌え」系のキャラクターということになるわけです。(ここでアニメ、メイド喫茶のイメージが映る)彼らは今後ますますそうした女性を求めて「萌え」系の市場に投資をするでしょう。」

私は「三十代男性」の一人ですが、ここで言われているような「三十代男性」はまったくの他者なので(まあ向こうからみても妻子持ちなんて他者だろうけど)素朴な疑問が幾つかわいたわけです。

疑問その1:これはどの程度「本当」のことなのか。「女子高校生の○パーセントが援助交際をしたことがある、と答えています」といった類の報道のベクトルと同種なのか、それとも違うのか。
疑問その2:もしこの悪循環的状況を「間違えてる!」と感じならば、一体、そもそもの「間違い」の発端はいつどこにあったのか。男性独身率の上昇傾向はかなり昔から言われていることだから、それが「萌え」産業の成長を条件づけた、と考えていいのか。そうは言えないのか。そもそもタマゴかニワトリかという関係にはないのか。
疑問その3:これは明らかに「搾取」というべき事態であるが(限定フィギュア何万円とかを買ってる貧乏学生とかみると、ほとんどツボを買わされてる老人と同じに見える)、一体、搾取「している」のはどういう面々なのか。搾取「されている」人達のイメージは(マスメディア的にも)容易に像を結ぶが、している側がどういう顔をしてどこにいるのかは見えにくい。これに対して、古典的な性産業の場合は、むしろ搾取「している」人達のイメージが明瞭であって、搾取「されている」人達は不可視になっている(あの人も風俗行ってるらしいよ、えー嘘、見えなーい、みたいな)。
しかし「萌え」業界の場合、どうも、儲けている人と消費している人の欲望というか目線が一致してる気がいたします。そうでないと売れる商品を作れない気がします。ってことは、ある商品を売って稼いでる人達が、同時に、別の商品を買う消費者でもある、という循環があるのでしょうか? あっ、でもそれだったら市場全体は大きくならないか。
疑問その4:未婚率というのはマッチングの問題だから、当然男性だけの問題ではなく、同じだけの女性があまっているはずである。彼女たちは一体どこに行っちゃったのか。少なくとも、「萌え」系市場が話題にされるときは、かなりジェンダーバイアスが掛かっていて、あまり女性の未婚率とはリンクして論じられてない気がします。コミケとかには女性もたくさんいるはずなのですが、どういうわけなのでしょう。実際に行ったことがないので、私は何とも言えませんが。「電車女」が「電車男」と同じ数だけいるなら、まことに分かり易いのですが。世の中そううまくはいかないのでしょう。

さて、みなさん、このように何も分かっていない私にホントのことを教えてあげて下さい。