まちの居場所シンポジウム(2月20日〜21日)

「まちの居場所シンポジウム」という国際カンファレンス企画が、私が所属する立命館大学大学院先端総合学術研究科の主催で、2月20日(水)と21日(木)の二日間、立命館大学衣笠キャンパスで開催されます。私は二日目の最後の「総合討論」で司会を務めます。

第9回先端総合学術研究科国際コンファレンス
「まちの居場所シンポジウム──カタストロフィ後の回復力と可塑性」
日時:2013年2月20日(水)13:00〜18:40
   2013年2月21日(木)9:00〜18:00
会場:立命館大学 衣笠キャンパス 創思館カンファレンスルーム

 デリダは「匿名の到来者」を身分や資格を問わず歓待することを、「無条件の歓待」と呼んだ。「まちの居場所」は、人々を既存のさまざまな制度の物理的・精神的な囲い込みから「逃し続ける運動」(例えば、一時避難所)としても注目される。
 現実には、「まちの居場所」は、さまざまな地域で、さまざまな姿で自主的に生まれた。高齢者の社会的孤立を防ぐ場として、困難を抱える若者支援の場として、地域生活を活性化する場として、生まれ、育まれ、変化を遂げ、つながりあっている。本企画の目的は、カタストロフィ後の回復力(Resilience)と可塑性(Plasticity)という視点から、異なる関心をもつ人々が集い、交流する場としての「まちの居場所」の役割と意義を再考することにある。
 今回、国内の気鋭の研究者にくわえて、英国スコットランドのアバーディーン大学よりRitu Vij博士を迎え、国際カンファレンスとしてこの企画を開催することになった。同博士は、2日間の会期全てに参加し、2日目に特別講演を行う予定である。

(※以下は吉田が参加するセッション)
2013年2月21日(木)16:20-18:00
総合討論(General Discussion)
司会:吉田寛
問題提起:「まちの居場所」をどう読むか? (How Should We Understand "Places of Sociality"?)
ポール・デュムシェル"Conclusion to Social Bonds and Freedom"
天田城介/立岩真也後藤玲子

公式サイトはコチラ、フライヤー(PDF)はコチラです。
京都市京都府からの後援を受けています。学外からは(私がお名前を認知しているレベルでは)阿部真大さんや酒井隆史さんなどの社会学者の方も来られます。
まちの中の「居場所づくり」、あるいは「まちづくり」そのものと、大学および研究者がどのように関わっていけるのかを、じっくり考える場になりそうです。以前、私がtwitterで「ぶち上げて」それなりに議論がはずんだ「哲学工房」(「〈哲学者〉が24時間スタジオの一角に詰めて、ものづくりをサポートする」云々)なる構想も、一つにはこうした文脈や土壌(そのような問題意識や研究テーマを持つ人々と日々接していること)の上から出てきたものでした(他にも「つくるビル」という「リノベーションアトリエ」のオープンや、つい先日予算案が公表された京都市の「文化芸術コア・ネットワーク」事業が立ち上がった(私もメンバーに入っています)ことなど、別のきっかけもあるのですが)。基本的に「座学者」(ザ・学者では非ず)であるはずの私も、こうした世の中の動きやニーズに積極的に対応していかなくてはならない、そんな時代や状況になってきたのかもしれません。また私が(哲学/認知科学/工学に跨るディシプリンとして)構想している「感性学」は、生活環境やものづくりと密接に関わる学問ですから、(ゲーム以外の)「現場」を持つことは、自分にとっても有益かなと思っています。もっともここでの「現場」というのは、世の中にはどのようなニーズや課題があり、自分の研究がどのようなところでどこまでお役に立てるか(立てないか)を知る上での対話・情報交換の場、という程度の意味でしかありませんが。学問・研究は「サービス」ではありませんからね(この辺りは専門分野や立場によっても意見が分かれそうなところなので、カンファレンスの場でも話題にした方がよさそうですね)。