メディア芸術祭京都展エンターテインメント部門(11月5〜6日)

以前からtwitter等でポツポツと予告・ご案内しておりました「文化庁メディア芸術祭京都展」のプレスリリースが本日行われました。ようやくここまで漕ぎ着けました。長らくお待たせしました。
文化庁のサイトは以下です。
http://www.bunka.go.jp/
文化庁メディア芸術祭京都展開催」のプレスリリース資料(PDF)は以下です。
http://www.bunka.go.jp/ima/press_release/pdf/media_geijutsusai_shiryo_110912.pdf
私は京都展プロジェクトチームの一員として「エンターテインメント部門」の企画と統括を担当しています。その「エンターテインメント部門」の企画は以下の通りです(プレスリリース資料14頁より抜粋)。

エンターテイメント部門
「ゲームってアートなの?──エンターテインメントのいま・これから」
日時:2011年11月5日(土)〜11月6日(日)
会場:京都国立近代美術館 講堂(1階)
料金:無料 ※ワークショップのみ料金について検討中
【企画1】11月5日(土)13:00〜15:00(予定)
シンポジウム「メディア芸術の中のゲーム──これまでとこれから」(仮題)
パネリスト:吉岡洋(京都大学)/渡辺修司(立命館大学)/小林貴樹(株式会社スマイルブーム)/桝山寛
ナビゲーター:吉田寛立命館大学
趣旨:平成9年(1997年)に始まった文化庁メディア芸術祭では、デジタルアート[インタラクティブ]部門(平成14年度まで)およびエンターテインメント部門(平成15年度以降)の枠内で、これまで多くのゲーム作品が入賞してきた。メディア芸術の専門家とメディア芸術祭での受賞経験を持つゲームクリエイターを交えて、それらの作品を回顧し、この十五年間の日本のゲーム文化の状況を振り返ると同時に、メディア芸術とゲームが接近・接触してきたことの意味を考える。
【企画2】11月5日(土)15:30〜17:00(予定)
ワークショップ「ゲームはどうやって動くのか?──ニンテンドーDSと『プチコン』 で遊ぼう!」(仮題)
インストラクター:小林貴樹(株式会社スマイルブーム)
ナビゲーター:吉田寛立命館大学
趣旨:われわれはゲームで遊ぶとき、ゲームがどのような仕組みで動いているのかを知らず、結果としての画面・グラフィックスだけを見ている。だがその昔、デジタルゲームが誕生した当時は、プログラムを打ち込んだり、すでにあるゲームの一部を改造したりして、ゲームは基本的に自分で作るものだった。その当時のプログラム言語であるBASICをニンテンドーDS上で動かすソフト『プチコン』(スマイルブーム社)を使って〈作る〉ことと〈遊ぶ〉ことの距離をもう一度縮めてみれば、ゲームの新たな魅力を発見できるだろう。
【企画3】11月6日(日)14:00〜17:00(予定)
シンポジウム「カジュアル化・ソーシャル化するゲーム──エンターテインメントの未来」
パネリスト:井上明人(GLOCOM研究員)/小林賢治(株式会社ディー・エヌ・エー取締役)/水口哲也キューエンタテインメント取締役CCO)
ナビゲーター:吉田寛立命館大学
趣旨:ウェブブラウザや携帯用デバイス上で「カジュアル」に遊べるゲームコンテンツの増加やSNSを介した 「ソーシャルゲーム」の流行、そして身体動作を直接に取り込む入力機器を用いたスポーツ感覚のゲームの 登場などにより、かつては「オタク文化」の一部とされたゲームは今や、年齢/性別/知識を問わず、誰でも/いつでも/どこでも遊べるものになりつつある。こうしたゲームの「カジュアル化」や「ソーシャル化」は、いかなる文化的/経済的/社会的地殻変動を引き起こし、われわれの生活にいかなる影響を与えるのか。そしてエンターテインメントの未来をどう変えるのか。開発、研究、ビジネスの最前線から三人のパネリストを招いて共に考える。

私としては(依頼した側の期待に反して)決して「ゲーム先にありき」ではなかったのですが、そして「メディア芸術=エンターテインメント=ゲーム」という奇妙な等号自体をずらしたかったのですが、やっぱり結局すべてゲームになってしまいました(笑)。とはいえ、そうした(ゲームを現代日本の文化の中に位置づける際の)「枠組み」問題は、すべての企画の底流にありますし、最初のパネルはそれを主題化したものです。
三つの趣旨文を書いたのもパネリストの編成を考えて声を掛けたのもすべて私なのですが、実質一ヶ月強ですべてやったので、たいへんでした(多くの人をつなぐ仕事は、研究や論文執筆といった孤独な作業とはまた別種の苦労がありますね)。ひとえに、ご快諾いただいたパネリストの皆様と事務局(京都芸術センター)のサポートのおかげです。ただこの種のプレスリリースは現状報告の感が強く、私の場合も企画の中身(とくにワークショップ周辺)についてはこれからもっと詰めていきます。
ご覧になって一見して分かる通り、二つのシンポジウム、ワークショップとも超豪華メンバーでお届けしますので、関西地方にお住まいの方はもちろんのこと、それ以外でもゲームに関心がある方はどうぞ奮ってお越し下さい。東京からわざわざ旅費を払ってでも見に来る価値があるはず、と自負しております(むろん私の企画力ではなく、ご協力いただく方々の「ご威光」に完全に負っているわけですが)。
言ってみれば「こんなにすごい《ゲーム》な方々が勢揃いするのは2011年度文化庁メディア芸術祭京都展だけ!」
また今日は偶然にも、私が事務局長を務める立命館大学ゲーム研究センター(RCGS)のキックオフカンファレンス(衣笠キャンパス、10月14日)のプレスリリースの日でもありました。重なるときは重なるものです。こちらも今後色々なルートで情報が回ると思いますので、よろしくお願いします。事前予約不要・入場無料ですので、ぜひお気軽に遊びに来て下さい。公式サイトは以下です(一両日中にカンファレンスの案内も掲載予定)。
http://www.rcgs.jp/
そんなわけで、この秋は完全にゲーム関連企画のキュレーター&ナビゲーターになりきりそうな予感の私ですが、せいぜい今と思ってこの数日必死に論文を書いてます(笑)。ここをご覧になっている研究者の皆さんは是非ともお仕事のバランスにお気を付け下さい。
あと、同じく11月5〜6日に予定されている日本音楽学会全国大会(東京大学駒場キャンパス)は、そんなわけで、参加できません。委員なのにスミマセン。とんだ「踏み絵」になってしまいました…。