コレが著作物ですか?

aesthetica2008-05-29

「瓶の立体の形だけでも、他の商品と識別する力が極めて強い」という理由で、コカ・コーラの瓶のかたちが合衆国で商標登録を許されたそうです(朝日新聞ネット版)。
立体商標って言うそうです。
知財高裁によると、審決を取り消して立体の商標登録が認められたのは、米国製の小型懐中電灯「ミニマグライト」以来、2件目」だそうです。
で、私がとっさに思い出したのはもちろん、いつも気になってるコレのこと。
コレの利権者が、合衆国の著作権法そのものへの圧力団体になってることはよく心得てますが、コレが著作物というのはいくらなんでもやりすぎなんじゃないでしょうか、といつも思ってるわけです。
だってコレ見てください、単に円が三つ重なっているだけの形ですよ。何てことないですよ。
こんなシンプルで普遍的な形象=記号について、いちいち一企業に独占的使用権を認めていたら、芸術の歴史なんて一歩たりとも前に進みませんよ。イコノロジーも真っ青ですよ。
こんなもの、誰の所有物でもないに決まっているじゃないですか。知的創造物というより、ほとんど既存のもの、あるいは自然のものですよ。権利者は自分が考えついたと錯覚しているだけで、じつはつねに=すでにあったんです。いくら歴史がない代わりに自由と平等と民主主義がウリの国とはいえ、合衆国の司法もこんなものに独創性を認めちゃダメですよ。
芸術学的というより、ほとんど文明史的、あるいは文化人類学的な怒りがこみ上げてきますね。
ちょっと考えてみてください、例えば私が、正方形や十字や楕円形とかを商標登録したい、と主張したら、絶対却下されますよね。ナンセンスですよね。でもコレは、それに限りなく近い事態ですよ。
たまたまそういう形ができちゃった、コレとかコレも、ダメなんですよね。
これが著作物というのであれば、大体、どの構成要素が権利者の知的独創物なのでしょうか? まさか円を三つ重ね合わせたら即権利侵害=金を払え、というのではないでしょうね。微妙な重なり具合、はみ出し具合ですか?
そういえばコレも商標登録ですよね。このかたちの頭に付けるおもちゃを娘に買わされた記憶がありますよ。ってことは、半円が一つと円が二つ、という組み合わせも同様にアウトなんですか? 下の娘には、こんなもの簡単にお父さんが同じヤツを作ってあげるからと約束してるんですが。
しかしコレとかはギリギリセーフですよね? こんなに情けなくしぼんでたら、もはやアレとは言えませんからね。ムンバイ(インド)にある会社のネットショップで売ってる「MR. MICKY SHAPE TOY BALLOONS」という名前の風船ですよ。「MR. MICKY」というのは、よく知りませんが、きっとインド人店長かその息子の名前か何かじゃないでしょうか。えっ、これはモロにアウトですか? それはそれは失礼しました。いやー、難しいものですね。
誰か、ギリギリセーフのデザインを作って、Tシャツか何かにプリントして販売してみませんか。「M-M-Shape-T-Shirt」とか名称を付けて。例えば、トップに掲載したコレとかはギリギリセーフだと思うんですが。何か言われたら「いや、よく見てくださいよ、これはアレではなくて、クマさんに決まってるじゃないですか!」と答えれば。じゃあ、その「M-M」とは何だと聞かれたら、「サイズのことに決まってるじゃないですか」とでも答えておけば。
しかしこちらは登録商標の盲点を突いたつもりでも、間違いなく言いがかりを付けられて訴えられるでしょうが、昔の「千円札裁判」のような、歴史に残る法廷パフォーマンスが楽しめると思いますよ。
アチラの弁護士は絶対ネルソン・グッドマンの記号理論で武装してくるから、こっちはシミュラークル論で対抗しようか、いやむしろイデア論の方が強いだろう、とか。マジでわくわくしますね。
日本の美学・芸術学系アカデミズムが総力を結集して詭弁を弄すれば、いくら敵が強大なグローバルカンパニーなれど、何とか勝てる裁判に持ち込めると思います。むろん私は、途中からアチラ側に寝返って、タダ券もらおうと思ってますが。
[追記]アレを数学的に定義して図形問題を作ってる人達(日本人)がいるのを発見しました。ちょっとかたち違いますけど。