引越完了

お陰様で、引越は無事終了しました。ここに御礼と共に御報告させていただきます。
東京で手伝ってくれた村上君と鈴木さん、京都まで来て手伝ってくれた森君、本当にありがとうございました。
また食器を全て梱包し終わった引越前夜に(およびその数日前にも)家に招いて夕御飯を作って食べさせてくれた赤羽の仲間達。
これから激しくお世話になるにもかかわらず、さっそく引越後初日から差し入れを持って親子で駆けつけてくれた地元京都の友人。
そして色々とお気遣い頂いた大学(新旧)の仕事仲間や上司の先生方、友人知人にも、それと何より両親には、多謝です。
ホントに今回だけは、皆さんのうち誰か一人でも欠けていたら、引越できていませんでした。裏で示し合わせたようなコンビネーション・プレイで、皆様が要所要所で助けてくださったお陰です。
日頃の無精と不義理がたたり、東京にいるうちにご挨拶しておかねばならない人があまりに多く、しかも引越の日が近づくほどに、その手の用件がどんどん増えて家に居られなくなるものですから、正直焦りまくりでした。新手のチキンレースかと思いました。
こんなにたくさん歓送迎会をやってもらっているのに、「それが理由で結局、引越の準備ができませんでした」という前代未聞のオチになったらどうしよう、首をくくらなきゃいけないかも、と夫婦で怯えつつ、「終わらない引越はない」という引越哲学史上最高の名言を心に抱き、比喩でなく不眠不休で荷造りをしました。かつ、引越前のご挨拶の方も、こちらとしてはなるべく手を抜かず、ベストを尽くさせて頂きました。
しかも子供は(当たり前ですが)切迫感がまったくなく、引越の概念は理解できていても、「もうすぐでお引っ越しなんだよね」「今日は何するの? おとうさん家にいるの?」「じゃあ遊んでー」と来るわけです。前回の引越時(二年前)はまだ上の子がしゃべれない(自己主張しない)頃だったので、こちらのペースで準備ができてまだ楽でした。今回は妻が赤子の面倒が見ているあいだに、私が上の子の遊び相手を務め、そして時間だけが過ぎていく、という悪夢のような日々でした。実家から母に来てもらい上の子供の相手をしてもらい、その隙にわれわれ夫婦が下の子の面倒を見つつ、手の空いてる方が少しずつ準備を進める、という、いわば「一人一殺」戦法で何とか凌ぎました。本当に消耗しました。
「あなたの人生、いつでも駆け込み乗車ね」といつも妻に揶揄されている私ですが、今回はいつも以上に、全てがギリギリのタイミングで進行しました(今回は妻も傍観者ではなく、一蓮托生だったわけですが)。さしずめ、羽生名人が自分の練習のために行う詰め将棋、そんな感じでした。一手(一分)も譲れない、一音たりともいじれないモーツァルトの作品、喩えるなら三月後半はそんな日々でした。ただ自分としては全部ギリギリうまくいったつもりですが、慌ただしさのなか何かやり残したことや失礼にあたることがあったやも知れません。ひとまずこの場でお詫びさせていただき、今後個別に対応させて頂く所存です。
荷物の量もハンパじゃなかったです。見積もりの時には「3トン車じゃ危ないので、2トンを二台で4トンで行きましょう」と言われていたので、そんなもんかと思ってましたが、実際、京都にやって来たのは何と10トン車。それで「ケツ近くまで入ってた」らしいので、嵩として7トンか8トンはあったんでしょう。見積もりが狂ってもこちらの責任ではないので追加料金とかは無いわけですが、こちらとしてはそんなことより、単純に荷物が予想以上に多かったことがショックでした。あんた、8トンて。一人暮らしのときには考えられない荷物の量に、いつの間にかなっているわけで、改めて、オレも年を食ったんだなあ、家族が増えたんだなあ、と実感しました。
まだ片付けは全然済んでないのですが、あの慌ただしさの中、親子四人(含乳飲み子)と家財全てが無事に東京から京都まで移動できた、ということだけでも十分奇跡の名に値します。自分の人生の選択に後悔はない、もし生まれ変わっても迷わず同じ選択をする、というモットーで生きてるつもりですが、今回の引越だけは、生まれ変わってもう一回やるかと問われると、ちょっと悩みますね。
まあ今回は、新しく頂ける研究室に事前に本のダンボール箱を大量に送れたので、だいぶ助かりました。ここのダンボールをとりあえずあそこに置いて場所をつくり、こっちで荷造りしたらまたダンボールを戻す、という具合に、頭も体も使うリアル「倉庫番」状態(しかもかなり難易度の高い)で引越準備作業をしていたので、研究室に送った分が家に残っていたら、絶対スペース的にゲームオーバーでした。
京都の新居は二条城のすぐ南側、堀川御池の辺りです。京都の市街地のど真ん中です。少し東に行くと烏丸御池のオフィス街、そこから少し南に下がると四条烏丸の繁華街ですが、うちの辺りは静かで住みやすそうな感じです。御池通も堀川以西は道幅が狭くなるので、大通り沿い特有の問題(騒音、排気ガスなど)もあまり気になりません。マンションの一階はいい感じのカフェになってます(店名はさすがに伏せますが、来れば分かります)。知識も時間もまったくない状態でとりあえず決めた居住地としては、十分「当たり」でしょう。物件も中を見ずに決めたので(入居中だったため)最悪の場合、またすぐに引っ越したらいいや、と思っていたので、嬉しい誤算です。近くに三条通商店街という「京都一長いアーケード商店街」(宣伝によれば)があり、これが十条銀座みたいな下町情緒たっぷりの雰囲気で、子供らも赤羽時代と違和感なくやっていけそうです。(以前ここでも話題にした)味噌屋もちゃんとあります。ただし立ち飲み屋が見当たらなかったので、妻に「『京都立ち飲み屋マップ』みたいな本ないかな」と言ったら「ダメ、買うなら『子供と遊ぶ京都』にして下さい」と一喝されました。京都って立ち飲み屋ないんですか? ただしブームに乗っかったにわか作りのもの(東京には最近多い)は初めからパスです。伏見辺りに行けばあるのかなあ? なければ「大衆酒屋」の暖簾がある店でもオッケーです。響きがきたないので嫌いな言い方ですが、いわゆるセンベロなところ。どなたか教えて下さい。というか、願わくばご一緒させて下さい。
新しい職場までは自転車かバスで二十分くらいです。実はもう一件、北野天満宮裏、平野の近辺に迷った物件があって、それなら職場まで徒歩五分だった(しかも家賃も安かった)のですが、京都は初めてだし、中心市街地に近い方が自分にとっても家族にとってもいいかなと思い、職住近接のポリシーをまげて、今の家にしました。赤羽から本郷までが地下鉄で十五分なので、そう考えると、あまり職場に近くなったわけではないですね。いずれにせよ、研究は自宅でやるのか、それとも専ら研究室でやるのか、授業がない日は家にいるのか、それとも大学にいるのか、といった今後のライフスタイルが全然見えてこないので、まだ何とも言えません。その辺りの生活リズムを確立するのが、まず最初の目標となるでしょう。
ちなみに、JRの京都駅からはバスか地下鉄で二十分くらい、阪急の大宮駅からは徒歩で十分くらいですので、皆様京都にお越しの際はぜひ、お立ち寄り下さい。私が言うまでもなく、京都、本当にいいところですよ。まだ京都市民になって一週間ですが、ひょっとしたら東京よりもいいかも知れないとすら思います。まあ、その辺の感想等はまた追々。
桜の花はまだ全開とはいきません。今週末に雨が降るらしいので、そこで散らずに残っていたら、来週辺り絶好でしょうね。それにしても去年の今頃は、来年の桜を京都で見ることになろうとは夢にも思いませんでした。