私の一週間(12/11-12/17)
12月11日(月)
本郷。生協でドナルド・A・ノーマン『誰のためのデザイン?』を購入。最近、ヒューマン・インターフェース(GUIとかアイコンとかゲームのキャラとか)と美学研究がどう関わるかを考えているので、その手始めに。例えば「間違えやすいアイコンと間違えにくいアイコンの差異はどこまで言語化できるか」とか「インベーダーゲームの敵はあくまで敵の記号(アイコン)だが、今のシューティングゲームの敵は(記号ではなく)リアルな敵である。だとすれば、いつからそう変化したのか」というのが基本的問い。ノーマンを含め、ヒューマン・インターフェースやアフォーダンスの分野ではエステティックスが非常にホットなトピックとして注目されているようだが、日本でもアメリカでも、美学研究者はそれに十分答えるような貢献をしていないように思える。ヒューマン・インターフェースの起源を調べると、必ず1970年代のゼロックスやアップルの試みに帰着するが、身体に即したデザイン思考という意味では絶対それ以前に遡るはずだし、アフォーダンスの考え方も、前世紀からの哲学的伝統を持つはずだ(と直感的に推察)。かといって私個人はいわゆる身体論にはあまり拘泥したくないので、アイコンとインデックスを区別したパースの記号論あたりから調べてみようかしらと計画中。
12月12日(火)
多摩美で年内最後の授業。喋ってるうちにまた喉が辛くなってきたので、芸術学研究サークルの例会、聖心のクリスマス会といった午後の予定を全てキャンセルして帰宅。思い起こせば、先週の今日、風邪の治りかけに三コマ喋って、しかも学生と打ち上げしたために、喉がメルトダウンしたのであった。
12月13日(水)
本郷。尼ヶ崎氏のダンス論の授業で歌舞伎役者を招いて実演をするので、立ち会う。その後、神保町に入稿に行く。
12月14日(木)
仙川、広尾で講義。桐朋で初めて図書館を使用。ここの図書館は大半が書庫取り寄せだが、端末からの検索、予約が非常にやりやすい。アマゾンで買い物をしているようなインターフェースで、予約の手続きができる。しかもインターネットで自宅からも。書庫の一つは富山(!)にあるが、昼までに予約すれば次の日の昼には届くという素早さ。日本、諸外国を含めてあまたの図書館を知ってるが、ここのシステムは今まで経験したなかで一番使いやすい、と思ったので、司書の人にもそう言ったのだが、お世辞と思われたっぽい。館内所蔵のはずなのに頼んでから出てくるまでに一時間も二時間も待たされたヴィーンの図書館に比べたら! これで今年の講義はおしまい。疲れたよ、ホントに。
12月15日(金)
このところ来年のスケジュール調整で頭が痛い。急に色々入ってきたため。これまでの人生で一番ハードな2006年をようやく生き延びれたと思ったのも束の間、来年はもっとやばそうな予感。しかも一限が週二回になりそうな悪寒。調整のメールやら電話やらで午前中は家で過ごしてしまう。午後から本郷。ゼミの後、上野で研究室の忘年会。
12月16日(土)
最近娘に「久しぶり」という言葉=概念を教えたら、さっそく使いまくりで、「明日、久しぶりに三輪車、乗ろうねえ」等とのたまう。しかも「おとうさんは歩こ歩こで、おかあさんは自転車で、りいは三輪車!」と御指定。そこまで言われたら仕方ないので、乗せる。時速一キロくらいなので、とても買い物などの実践的用事とは両立できない。途中で相方には別れて買い物に行ってもらい、三輪車を押しながら、丸健に行っておでんを立ち食い。牛スジとか以外は普通に一緒に食べれるようになったので、連れていきがいがある。その後、相方と合流して三人で和菓子屋であんみつを食べる。
12月17日(日)
本郷。昼ご飯は久しぶりにミュンで(ベトナム式カレーにドリンク付きで400円!)。日曜日もやってて、しかもいつもと同じランチをやってるとは、と感謝。その後、神保町に行き原稿をもらって、本郷に戻る。夕方から会議。日曜日に会議なんてやめて欲しいよな、とみんなで思いつつ、会議。近江屋でクリスマスケーキを予約。ケーキを予約するなんてもしかして生まれて初めてかも。