近況その3(ゲーム研究センター編)

この4月1日付で「立命館大学ゲーム研究センター(Ritsumeikan Center for Game Studies: RCGS)」なるものが発足しまして、昨日12日に初会合・初研究会がありました。上村雅之氏(任天堂アドバイザー/立命館大学大学院教授)がセンター長で、私、吉田が事務局長を務めております。
広報のシステムが未構築であるために、学外向けには事後報告になりますが、昨日の詳細は以下のようなものでした。案内が直前になったにもかかわらず、教員や大学院生だけでなく、学部生や職員の方々にも多数お集まりいただき、大盛況となりました。所属や年齢等を問わず、立命館の中のゲームに関心がある人々が気軽に集まって自由に意見交換ができる「居場所」作りを目指していますので、その意味では、初回から目的が十分達成されたといってよい大成功でした(いずれ学外にもできるだけ早い段階で広報するようにしたいですね)。

立命館大学ゲーム研究センター2011年度第1回定例研究会
日時:2011年4月12日(火)16:00〜18:00
場所:立命館大学アートリサーチセンター多目的室
16:00〜16:20 センターの発足について(センター長からのご挨拶、事務局長からのご報告)
16:20〜18:00 第一回定例研究会
発表者:尾鼻崇(立命館大学先端総合学術研究科・非常勤講師)
発表題目:「ビデオゲーム展──電子化された「遊び」の世界」の報告
参考URL:http://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/GCOE/WTSG/2011/02/post-3.html

本研究センターは、日本の大学では初めての、そして唯一の、またおそらく世界でもきわめて珍しい、ゲーム(アナログゲームデジタルゲームを含めた)という対象に特化した、かつ学際的な研究センターです(メンバーの専門分野は、感性学、コンテンツ産業論、ゲームデザイン人工知能、学習科学、認知科学、知的財産法など)。
ゲーム(とりわけビデオゲーム)については、政府主導のもと国家規模でその情報集約と育成の必要が叫ばれながらも、これまでは企業以外に中心的主体となれる組織がなく、中立的/長期的/学術的にそれらの課題に取り組むことができませんでした。ゲームの歴史的アーカイブ構築や評価システムの確立についても、ビジネスの最前線から一歩退いた、大学という組織だからこそできる貢献があると考えます。
また海外の研究者でゲームについて研究したいと考えて日本に来る(来たがる)人々がたくさんいるにもかかわらず、そういう人々を受け入れることができる研究機関がまったく存在しない、というお寒い現状です(この辺りの問題意識は文化庁なども強く持っているのではと推測します)。本研究センターはそうした人々の受け皿になれればいいなとも考えております(さっそく海外からの受け入れの希望がありました)。
本研究センターは今のところ(1)ゲームのアーカイブ構築(すでに立命館にかなりの蓄積・伝統があります)、(2)ゲームの社会的・教育的応用可能性の研究(ソーシャルゲームを含む)、(3)「遊び」の人間学的・感性学的研究(ルドロジーを含む)、(4)ゲームの評価システム(倫理規定なども含む)構築に向けての基礎的研究、の四つのプロジェクト(ブランチ)からなります。
本研究センターの具体的活動としては、月に一度、年に十回程度の「定例研究会」(研究発表、文献講読など)と年に一、二回の「カンファレンス」の開催を予定しており、将来的にはジャーナルの刊行も目指しております。立命館大学にはメインキャンパス以外にも、東京(八重洲)と大阪(梅田)にオフィスがあり、それらも活用して、ゲーム関連企業やコンテンツビジネス関連企業との勉強会・人材育成プログラム等も展開していく予定です。東京、大阪方面の関連企業・団体、大学、研究機関の皆様はよろしくお願いします。
なお第一回目となる「キックオフ・カンファレンス」は2011年10月14日(金)に立命館大学衣笠キャンパスでの開催(東京他でもネット中継の予定)が予定されています。まだ日付が決まっているだけですが、詳細が決まり次第、お知らせいたします。
なお近日中に公式ウェブサイトや広報システムの構築を整備する予定です。いずれここでもご案内します。
ちなみに次回(第二回)定例研究会は、5月17日(火)16:30からで、内容は「ゲーム研究文献調査報告会」を予定しています。
私も他のメンバーも、やりたいことはたくさんありますが、急いでも何もできません。逸る気持ちを抑えて、一歩一歩、地道にいく他ありません。