立命館シネマ企画《挑発する女たち》明日です!

いよいよ明日29日(土)に迫りました、立命館京都シネマの共同企画「挑発する女たち──アートの臨界」の第一回《マリア・カラスの真実》です。
立命館大学人間科学研究所のサイトはココ。チラシはココ
詳細は以下です。

公開講座 シネマで学ぶ「人間と社会の現在」
シリーズ7「挑発する女たち──アートの臨界」
◇2011年1月29日(土) 『マリア・カラスの真実』
対談:吉田 寛(先端総合学術研究科准教授)×松原 洋子(同教授)
・作品サイト http://www.cetera.co.jp/callas/
*13:00開場/13:30開演(16:30終了予定)
◆会場:立命館朱雀キャンパス 5F 大講義室(ホール)
参加費:800円(京都シネマ会員:500円)

全三回の第一回目である今回は、私が立命館に来てから初めて音楽学者としての仕事をする、という機会になりそうです。
とか言いつつ、たいへん恥ずかしながら、私(一応)十九世紀音楽史をずっとやってきたはずなのに、今回初めて、イタリア・オペラの歴史を総ざらいしました。ロッシーニとかベッリーニとかヴェルティとか、作品は知っていても、様式とか歴史的位置とかを全然気にしたことがなかったのですが(笑)今回ようやく気にしました。つねにドイツとの「横」の関係で断片的に眺めるばかりで、イタリアの中での「縦」の関係を通して見たことがなかった。ヴァーグナーの影響が意外にイタリア・オペラに出ている、ということも(よく指摘されるのは知っていましたが)初めて理解しました。マリア・カラスは案外そうした正攻法でいかないと「攻略」できない、スター表象や〈神話〉(あるいはその批判)からのアプローチでは(この映画のコメンタールとしても)なかなか生産的な話にならない、というのが現在の率直な印象です。
また外から見ると意外かも知れませんが、音楽学とオペラって実は「食い合わせ」が良くなくて、音楽学者がオペラのことをよく分かっているかと言うと、案外そうでもないんですよね。これは単に私がオペラに無知・不勉強という個人的問題もありますが、音楽大学とか学会の規模で考えてみても、ある程度、言えることだと思います。単に専門領域がタコツボ化しているというのとは別のレベルの話で、オペラのことを分かっていない音楽学者が多い、あるいはそもそもオペラは(少なくともこれまでの)音楽学(研究)のシステムにのりにくい。ではそれはどうしてなのか?ということについても、当日、私が考えるところを少しお話ししたいと思います。
で、これが終わったらすぐさま、大量に買い込んである(今回の準備のために購入してもらった)草間彌生の資料・本を読み始めなくてはなりません。一ヶ月に一つ映画を見て対談、というのはなかなかハードです。準備にも緊張感があるので、すごく勉強になりますが。

[2011.2.10追記]大盛会のうちに終了しました。お越しいただいた皆さん、ありがとうございました。立命館大学のサイトに当日の模様が紹介されました→ココ