国際カンファレンス「絆と境目」

来週の週末に立命館大学で国際カンファレンス「絆と境目 Bonds and Boundaries」が開催されます。
われわれ先端総合学術研究科主催のかなり大規模な国際会議で、私は単なる端役ですが、コメンテーターを務めます。
私がコメントするのはアン・フィリップ氏の発表「コスモポリタニズムを(部分的に)擁護する」に対してです。今鋭意原稿を読んでいるのですが、「多文化主義」と「(プチ)ナショナリズムへの回帰」のどちらも選択しないことが今日いかに可能か、という興味深い問題です。なお著者のフィリップ氏には『文化なしの多文化主義(Multiculturalism Without Culture)』という著作(多文化主義は最近(イスラム原理主義の台頭後)旗色が悪いが、まだまだ捨てたものではなく、本質主義的「文化」概念なしに、ある種の「個人主義」的原理に基づいて、それを立て直そうというもの)があり、彼女の仕事の基本線に「文化」概念の批判的再検討があります。
最初この仕事を頼まれたときには本当に私で大丈夫なのかなと不安だったのですが(今もあまり変わりませんが)、読んでいるうちに、何とか自分の関心・フィールドと結びつけてコメントができそうかなあと思ってきました。もちろん、それはひとえにフィリップ氏の議論の射程と有効範囲が広いからですが。
私のセッションは、アクセル・ホネット氏(間違いなく今回の目玉である)が登壇する前の時間帯ですので、人もけっこう来そうなので、今から緊張しています。
日本語のカンファレンスでのコメントなら場合によっては原稿を準備しませんが、英語なので私の場合、準備しないと絶対にダメです。来週はきっとこの準備に取りかかりっきりですね。
プログラムは日本語がココで、英語がココ。ポスター(英語)のダウンロードはココ
参加申し込みはココ。学外者大歓迎(かつ要申込)ですのでよろしくどうぞ。
以下に日本語版プログラムを貼ります。つか、理事長もいらっしゃるわけですか。すごいですね。

3月18日 (司会: ポール・デュムシェル (立命館大学教授))

9:30 歓迎の挨拶: 長田 豊臣(学校法人立命館理事長)
9:40 イントロダクション: 後藤 玲子 (立命館大学教授)・ ポール・
  デュムシェル
9:50 導入講演: 西川 長夫 (立命館大学名誉教授)
   「焼かれた国境」
10:15 グルプリート・マハジャン (ジャワハルラール・ネルー大学教授,
  インド)
   "Cultural Boundaries and the Reasonable Accommodation of
  Minorities: Is Secularism Enough?"
11:00 コメンテーター:キアラ・ ジャッカルディ (サクロ・クオーレ・カ
  トリック大学教授, イタリア)
11:15 ディスカッション(逐次通訳あり)
12:00 昼食
13:30 ヴォルフガング・パラヴァー (インスブルック大学教授,オースト
    リア)
   "Parochial Altruism and Christian Universalism: On the Deep
    Difficulties to Create Solidarity with Outside Enemies"
14:15 コメンテーター: 小泉 義之 (立命館大学教授)
14:30 ディスカッション(逐次通訳あり)
15:10 休憩
15:25 ジェフリー・ブラーム・レヴィ (ニュー・サウス・ウェールズ大学
 上級講師,オーストラリア)
   "Autonomy as a Pluralistic Concept"
16:10 コメンテーター:加國 尚志 (立命館大学教授)
16:25 ディスカッション(逐次通訳あり)

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3月19日 (司会: 富永 茂樹 (京都大学教授))

10:00 サスキア・サッセン (コロンビア大学教授,アメリカ)
   "Incompleteness and the Possibility of Making: Towards
 Denationalized Citizenship?"
10:45 コメンテーター:ジェレミー・イーズ (立命館アジア太平洋大学
 授)
11:00 休憩
11:15 ディスカッション(逐次通訳あり)
12:00 昼食
13:30 倉沢 冬樹 (ヨーク大学准教授,カナダ)
   "Humanitarianism and the Publicization of Crises: On the
  Tension between Universalism and Particularism"
14:15 コメンテーター:西 成彦 (立命館大学教授)
14:30 ディスカッション(逐次通訳あり)
15:10 休憩
15:25 マウロ・マガッティ (サクロ・クオーレ・カトリック大学教授,イ
 タリア)
   "Justice and Culture: New Contradictions in the Era of Techno-
 Nihilist Capitalism"
16:10 コメンテーター:崎山 政毅 (立命館大学教授)
16:25 ディスカッション(逐次通訳あり)

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3月20日 (司会: 渡辺 公三 (立命館大学教授))

10:00 アン・フィリップ (ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス
 授,英国)
   "In (Partial) Defence of Cosmopolitanism"
10:45 コメンテーター:吉田 寛 (立命館大学准教授)
11:00 休憩
11:15 ディスカッション(逐次通訳あり)
12:00 昼食
13:30 アクセル・ホネット (フランクフルト大学教授,ドイツ)
   "The Fabric of Justice: On the Limits of Proceduralism"
14:15 コメンテーター:出口 剛司 (明治大学准教授)
14:30 ディスカッション(逐次通訳あり)
15:10 休憩
15:25 ローラン・テヴノー (国立社会科学高等研究院教授,フランス)
   "Bounded Justifiability: Assurance and Oppression in Securing
 Life together with Binding Engagements"
16:10 コメンテーター:後藤 玲子(ポール・デュムシェル代読)
16:25 ディスカッション(逐次通訳あり)
17:00 総括ならびに最終ディスカッション(ディスカッション部のみ逐次通
 訳あり)

*使用言語:英語
*ディスカッション部分には逐次通訳の準備がございます。

主催:立命館大学大学院先端総合学術研究科
   日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究B「文化多元主義と社会的
 正義に関する研究」
共催:立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点
助成:立命館大学2009年度後期 研究の国際化推進プログラム「研究成果の
 国際的発信強化」

今宵はいまから、いい年こいた男八人のホモソーシャルな鍋大会に鶏肉を二キロ背負って行ってきますので、準備はしばし中断。