大晦日に帳尻を

昨年に引き続いて、帰省せず、京都で新年を迎えます。
とはいえ、この年末はうちで客人を招いての忘年会三連チャンだったので、まともに正月の準備や大掃除をする時間もなし。年末気分もどこへやら。私の仕事納めも含めて、すべて大晦日にツケが回ってきました。
さっきまで五歳児がごまめを煎ってました。彼女こんな遅くまで起きていたのは初めてじゃないかな(「紅白が終わってお寺のテレビが始まったら寝る」という約束)。
昨日(晦日)は近所の友人(計三家族、十一名)がうちに集まり、おでんを肴に、正午から深夜まで、十時間くらい延々とビールと日本酒とワインと泡盛を呑み続けました。
おでんなので(楽な面もあるけど)仕込みがたいへんで、家中の鍋を総出に、前日からダシを取ったり卵(二十個近く茹でたよ)の皮をむいたり糸こんにゃくを結んだり。
入れた具材を画用紙にすべて書き出した「めにゅー」(嫁さん発案)を作ったら、とくに子どもに大ウケ。こういうときにはいつもリビングは大人(プラス乳児)専用にして、別室に子ども専用のテーブルを準備する(畳部屋なので当然下にビニールシート)のだけど、今回はそのテーブルを囲み、レストラン気取りで「めにゅー」を見つつ、あれこれ楽しそうにおしゃべりをして、次は何を食べようか決めてました。ジョシって一体…。あの娘ら、あと二十年後も(いや五十年後も)きっと同じノリなんだろうな。
京都では肉屋では鶏は売らず、鶏肉(かしわ)専門の店があるのだが、そこで買ってきた手羽を入れたり(前回やったけど、かしわ屋で買ってきた「つみれ」を入れて、とりでダシを取った鶏鍋は超絶品!)。ふつうどっちも同じ店で買うだろ!と思うのだが、豆腐はこの店、でもお揚げはこの店とか、めちゃくちゃ細かく「専門分野」が決まってるのよ、この地では。で、食べたらなるほど絶品。極度の専門化、文句なし。
みんなが子連れで誰かの家で呑むと、酒もたくさんゆっくり呑めて、ほんとに楽しい。趣味も仕事も価値観もみんな全然違うんだけど、酒好きなら、あとは子ども(幼稚園)の話と地元の話と酒と食べ物の話をしながら、何時間でも一緒にいられる。いやまあ(私の場合)うまい酒さえあれば、赤の他人(または大文字の他者)とでも延々と話し続ける気がするが。ともかく、これは子どもを持つ者にのみ許された、特権的なコミュニケーションの形態だな(その代わり、通常の大人に許されているその他諸々の楽しみが制限されているわけだが)。
これがもし子どもを預けたり、家族を残してきたりだと、呑んでいてもどうしても家のことが気になってしまうのだが、子どもが隣の部屋で遊んでる状態だと、オトナ達は何の気兼ねもなく、後ろめたさもなく、いつまでも呑める。子どもが寝るなら寝るでよし。泣くなら泣くでよし。そのように考える共犯関係者(かつ酒呑み)が集まったので、とりあえず全員が、今年一年の育児のストレスをすべて発散するべく、呑みまくりました(一名は深夜営業のスペイン料理屋の店長なので途中で離脱)。
考えてみれば、幼少のみぎり、私も自宅でしばしばこういう風景を目撃したような記憶がありますわ。親が酔ってるのを、そういう機会に初めて見るんだよね。それも当然で、外の店で子連れで呑んでも、あるいはうちで夫婦(あるいは一人)だけで呑んでも、まず酔わんもん。
紅茶のお店を経営している一家が、ケーキを作って持ってきてくれたので、それを肴に上質なコーヒーブレイクもできました。私、職業柄というか趣味的にというか、こういう特技がないので、ホントに劣等感があります。特に京都に来てからは、周りの多くが「一芸」というか「手に職(食)」の人達なので。うちで人様にあげられるのは本くらい。あと論文の抜き刷りとか(笑)。もうサイテー。
で、本日(大晦日)は(呑み過ぎた私は)昼まで寝て、起きてから部屋に籠もって2009年の残務。「近々やって送ります。えっ、締切? 遅くとも年内に、ハハハ」とか言ってそのままにしていた仕事が複数あったわけだが、そのリミットがどう自己流に解釈しても今日なので、そいつらを片付けましたよ(この逃げ口上は来年以降は要注意だな)。大物は、二つの企画書。一つは来年二月末に行う学内某委員会(私が委員)の講演企画。もう一つは、独立した一冊として出すことが決まった、先日のヘイドン・ホワイト企画の報告書(私が編者)。前者は日が近づいたらまたご紹介します。後者は刊行されたらご案内します。
何とか年内に、と思っていた各種業務連絡、私信も一応すべて送信した(よね?)。
これにて2009年にやるべきことはすべて終了。
私、基本的に終わったことは振り返らないタイプなので、とくに今年の総括とか反省とかはしません(できません)が、まあまあじゃないですか。(自分基準では)だいぶ仕事した気がするよ。良い出会いもたくさんあった。色々と動けた気もする。無事に帳尻も合ったし。
残務処理の最中、時間を盗むようにして(大晦日なので早めの時間帯に)新年のご挨拶用の贈答品を買いに、寒空の京都市中を自転車で駆け回る。これも無事、ご希望の品々が手に入り、終了。これもまた、電車などに乗らずとも狭いエリア内で何でも揃う、京都だからこそのなせる技。
あとはお年玉の準備(プリキュアのポチ袋を買ってきた)をして、コーヒーでも煎れて、寝るだけ。まあその前に、嫁さんのおせち作りを手伝わなくちゃいかんかな。
皆様、良いお年を。