ヴァーグナー/ウッディ・アレン/マーク・トウェイン

青弓社のサイトに、

吉田寛ヴァーグナーを(で)笑え?――『ヴァーグナーの「ドイツ」──超政治とナショナル・アイデンティティのゆくえ』を書いて」(「原稿の余白に」Vol. 90、2009年12月7日)

という私の文章が掲載されました。
ヴァーグナーウッディ・アレンマーク・トウェインという一応、三題噺になってます。
本を出した人がその本の執筆を振り返りつつエッセイ的な文章を書く、というコーナーで、内容は何でもよいと言われたのですが、かといってヴァーグナーに関係する話にしないわけにも行かないよな、かつあくまでエッセイだよな、と思い、けっこう悩んで書きました。
こうした純粋にエッセイ風の文章を書くのは、ほとんど初めてに近い経験なので(論文や雑誌原稿でテーマが何でもよいという依頼は珍しくないですが)何でもよいと言われても逆に困ってしまい、結果的に、ほとんどこのブログのノリに近い、日常的なことを書いたものとなりました。ご存じの通り、私はきわめて生真面目な人間なので(笑)、これがもしお金を貰う原稿だったらさすがに良心が痛むでしょうね。
ともあれ、素晴らしい「ネタ」を提供してくれた方々に感謝しないといけません。まず「フランスから集中講義のために来ている哲学研究者」とはFrédéric Worms氏(日本でも知られたベルクソン研究者)で、「フランス語圏カナダ人の政治学・経済学者で、私の同僚」というのはPaul Dumouchel氏、「ドイツに留学してベートーヴェン研究で博士学位を取った新進気鋭の音楽学者」とは沼口隆氏です。この場にて御礼を述べさせていただきます。どうもありがとうございました。
日々たくさんの友人や仕事仲間と刺激的な会話ややり取りを交わし、それらは私の人生の最大の糧にして同時に最大の目的にもなっているわけですが、それらは基本的にすべて記録はおろか記憶にすら留まることなく、流れ去ってしまいますので、こういうエッセイを書くことで、ヴァーグナーのことはさておき、日々の交流の良い記録(記念)ができた気がして、ちょっと嬉しいです。