もうだめぽ、とでも申しますか

美学会編の国際版『美学(Aesthetics)』第13号が発刊されました。というより、今回から電子ジャーナル化されたので、正確には、校了稿が正式にWeb上にアップされました。
私は、以前日本語論文として書いたオリンピック芸術競技論を英語でリライトしたものを載せてます。
電子ジャーナル版(PDF)ですので、いつでもどこでも誰でも読むことができます。実際にどれほど読まれるのかは(学会自体もたいそう気にしていますが)別ですが。物好きな方はどうぞ。
そこでさっそく一点、訂正したいというか、がっかりしたことがありまして、ロサンゼルス大会(1932年)の絵画・版画部門で“Eijiryo Naga”という名の日本人が、選外佳作(Honorable Mention)を受賞している(メダルはもらっていない)のですが、この人がどこの誰なのかいくら探しても分からなかったんですね。こういう名前の画家知ってる?と聞いても当然誰も知らない。ファーストネームもファミリーネームも日本人名としては同定しにくく、もしかして誤植(誤記)かしら?くらいに考え、それ以上調べようがなくて、行き詰まったわけです。2006年の日本語版では調べたところまでを記し、今回の英語版を書くに当たっては一応調べ直した上でやっぱり分からなかったから、そのまま註に“A Japanese name, although unidentifiable, appeared in the record of Art Competitions for the first time: Eijiryo Naga, honorably mentioned in the Prints Competition.”と書いておいたわけです。
ところが最近、Wikipediaの記事を何気なしに見ていたら、名前がちゃんと載っているじゃないですか、「長永治良」と。しかもこの名前で検索したら、幾つか日本語のサイトが出てくるし。それにしてもWikipediaの記事、いつ修正されたのだろうか?と思って、いま記事の差分を調べたら(こんなことわざわざするの初めてだけど結構調べていて面白い)2008年8月25日にこの部分の一行が追加されています。ちょうど私が英語版のドラフトを作っていた時期じゃないですか。どなたか存じませぬが知っておられたのならもうちょい早く書いてくださいな(まあ、半分はこちらの仕事でもあるわけですが)。せめて校正時にでも、もう一度見ていたら直せたかも知れないのに…と後悔されます(どのみちソースは明らかではないので調べ直す必要がありますが)。議論の流れにはとくに関係しない、微細な事項ですが、日本人受賞者のことだし、自分としては端的に調査不足、しかもネット上の情報量以下ということで、本当にガックリきてます。ハァ。
皆さんは私を反面教師にして(生きる屍をこえて)かようなことの無きよう頑張ってください。
まあでも落ち着いて考えたら、「長永治良」さんと判明しても、やっぱり、で?あなた誰?という状況に相違はないですね。