AクラスはAクラスを採用したがるが、BクラスはCクラスを採用したがる

すでにさんざんネット上でも言われてきたこと(たとえばこことかここを参照)だが、あらためて少し。
「Aクラスの人はAクラスの人を採用したがるが、Bクラスの人はCクラスの人を採用したがる」の法則だ。
これは「自分より優秀な人を採用して会社を強くする」というかたちで、主にベンチャー企業に対して言われてきたアドヴァイスらしいが、クリエイティヴィティとフレキシビリティが要求されるあらゆる組織にあてはまる法則に違いない。
この法則を聞いて私はかつて、もう大昔だが、自分がとある人材募集に応募したときのことを思い出した。結果的に落ちたのだが、その選考に関わっていた知人が後で申し訳なさそうに、「いやー、今回は本当にごめん。自分よりも優秀な人が入ってくると自分達の馬鹿ぶりが目立つからと言って嫌がる人達が多くて…」と弁解だか慰めだか分からないような声をかけてきた(ちなみに誤解の無いように書いておくと、その知人は、たまたまその時そうした役回りを果たしただけであり、人生の恩人として私がたいへん尊敬する人である)。
当時まだ純朴であった私(いやホントにマジで)は、この言葉をどう受け取ったらいいか、正直悩んだが、まあおよそ上記の、「Bクラスの人はCクラスの人を採用したがる」のだろう、という意味で理解し、自分を納得させた。まあ単なる御世辞あるいは方便だとしても、「駄目な人は優秀な人が入ってくるのを嫌う」という理屈は分からなくはなかったからだ。ただ、今思うと、落とされた人を傷つけずに諦めさせるにはうまい言葉だと思う。実際、このとき知人はそれに成功したのだから。
だから、Aクラスの人(自分がAクラスだと思ってる人としか言えないが)は、Bクラスの人達に嫌な思いをさせられても、まあそういうことなんだと割り切って、腐らずに、Aクラスの人達に出会う機会をじっくりと待ってください。どうせBクラスの組織に入っても、まともに自分が機能しませんし、その組織も早晩つぶれますので、かえって良かったと思って。
逆に、人を取る側について言うと、その組織がAクラスであるかどうかは、自分達よりも優秀な人(とりわけ自分たちとは異なる尺度・方面において優秀な人)を正しく評価して採用できるかどうかで決まってくるということです。私自身とうていAクラスとは言えませんが、少なくとも、自分より能力が低い人を周りに置きたがる、という意味での二流には堕したくないと常々考えています。
ちなみにこの法則でいくと、ではBクラスの人は一体誰によって採用されたのか、という疑問が残りますが、それは措いておきましょう。