モティヴェーション格差

毎年のことだが、怒濤の六月。
まだようやく半分だ。
今週末は休めるが、来週の月曜からは月末30日まで一日も(土日も)休み無しだ。
月末まで何とかsurviveできたら、授業も終盤戦となり、すぐ向こうに夏休みが見えてくる。

ところで今日は、初めて幼稚園の説明会なるものに行ってきた。
うちのすぐ裏の高台にある私立のカトリック系の幼稚園で、そんなに激しい競争があるわけではないが、一応「お受験系」に数えられている。
聞くところでは、本当は目黒にある系列の園に入れたいのだが、そこが遠いなり難しいなりの理由で、ブランドの名前だけ拝借しようと、代わりにこの幼稚園(実はここが本部なのだが)に入れたがる迷惑な親達がいるらしい。
極端な例では、埼玉から電車乗り継いで一時間近くもかけて通っている園児(むろん親が送り迎え)もいるとのことだ。
幼稚園にそれはやりすぎだろうと言わざるを得ないが、いずれにせよ、一番近くだからここで、というわれわれのモティヴェーションとはあまりに格差がありすぎる。
で、その幼稚園が、平日の午前に「子供同伴不可」の説明会である。
一体どういうことなのか、と思った。
こんなもの、男親か女親のどちらかが家で子供の面倒をみてるか、あるいは実家や保育施設などに子供を預けない限り、参加はできない。
例えば、共働きで実家の遠い人達は、まず参加できない。
それとも、そういう人達は対象外ですよ、という暗黙裏の選別のサインなのだろうか。とつい穿ってしまう。
今日はたまたま私の授業が午後からだったので、うちは三人で出掛けて、妻が娘を園庭で遊ばせて、私が説明会に参加したのだが、驚いたことにそういうパターンはうちだけ。そもそも、単身で参加した男親は私だけだった。久しぶりにマイノリティを自覚した。
父母が二人で参加していた人達もいたけど、子供の姿はない。やはりどこかに預けてあるのだろうが、これもまた不自然きわまりない図だ。
そして、それに輪をかけて私の肩身を狭くしたのが、単身で参加している女親達(予想を裏切らず、彼女達が圧倒的大多数である)が揃いも揃って、いわゆる「お受験スーツ」に身を包んでいることだ。いやー、とうとう私の身近にも来ましたよ、オジュケン。オジュケンさまですよ。そう思ったら、その異様な光景が少し滑稽に見えてきましたよ。
(今時シルクハットの紳士がいたとの情報(未確認)があり、それくらいやってもらうとかえって好感が持てます。粋ですよ。ちなみに私はポロシャツにベージュのジーンズという普段の格好。基本的に、そこに来てる男親は、私より少し世代が上なんですよね。二人目以降の子供の入園なのかも知れませんが。女親は大体同世代の気配がします。)
おいおい、君たち、ここをいずこと心得る。無く子も黙る赤羽であるぞ。この高台から見下ろしたところにある、あの上品な界隈(註:最近フラバン茶の広告のバックで登場したOK横町)が目に入らぬか! こんなベタな街でいくら気合い入れても、せいぜい「お受験ごっこ」の域を出ませんよ。大体、君たち、半数くらいは地元の顔見知りではないですか。去年の今頃までは、街中で平気で乳飲み子に授乳させてた同志ではないですか。何やってるんですか。勘違い、というかつまんないゲームはこれくらいにしましょうよ。何で皆、つい格好までお受験系の人達に合わせちゃうかなー。つーかその服どこで買って来たの? ダイエー? アピレ? ビビオ? アストリア?
まあ、そういった冷めた感想が、終了後に地元仲間から(皆自省を込めて)ちらほらと出てました。
いずれにしても、うちはそうした「お受験組」とはまともに張り合う気が初めからなく、別にこの幼稚園が駄目なら他(うちから二番目に近いところ)でも良いかなという程度のゆるいモティヴェーション。もっといえば、無理して来年(三歳)から行かせずに、二年保育でもいいかなと。いつまで赤羽にいるかも分からないし。ご縁があれば、という感じですね。
そもそも幼稚園なんて児童館の延長みたいなもので、越境させてまで行かせるところではないし、そんな無理をしても、結局、親の自己満足やプライドに関わるだけで、子供のためにはならない、というのが持論なのだが、一般的にはどうなのだろうか。
今日の説明会での園長先生の話を聞く限り、幼稚園の理念と活動自体はきわめてまっとうで、むしろ「勘違い系」の親に対する事前の忠告とも受け取れた(その意味では親だけを集めて啓蒙するのもあながち無駄ではないのかなと思った)。必死にメモを取ってる彼女らにそれが伝わったがどうかは分からないが。そして園児達の様子をみても、ここなら来年から娘を通わせても悪くないかなと思ったが(朝、私が自転車で送るくらいできるし)、そんなわけで意外に「倍率」が高そうなので、果たしてどうなることやら。
えっ、幼稚園よりも、もっと大事な問題は、お前自身の行き先だろうって? はい、おっしゃるとおりでございます。精進いたしやす。