私の一週間(3/21-3/27)

3月21日(祝)
 昼に相方が買い物に出たので、久しぶりに娘と二人で留守番。一緒にビデオや写真をみたり、絵を描いたり、本を読んであげたり。娘はだいぶ人らしくなったが、二人でそれぞれ好きな時間を過ごす、という訳にはまだいかない。字を覚えて、読書が内面化できたら、少し違うのかも知れないが。文盲(読んでもらう状態)から音読(自分で読む状態)へ、そして黙読へ(近代的主体の成立?)というヘーゲルの美学あるいは前田愛の読者論が論じたような過程を自分で観察するのは少し楽しみかも。種子田郷さんがZAIMの公演に招待してくれたので、夕方から横浜に出向く。彼のパフォーマンスを生で見るのは初めてだったが、実に素晴らしかった。あそこまで緊密に構成された、濃厚なパフォーマンスを見るのは久しぶり。感想はまた何かの機会に公にしたい。あとZAIMに行く途中に隣を通った横浜スタジアムから聞こえてきた「燃えよドラゴンズ」も大いに気になったが。

3月22日(木)
 大学院の修了式。正門を入ったら、羽織袴の学生とその親御さんで随分と賑わっていたので、あれ今日は学部の卒業式だったかなと思い、焦ったが、やっぱり修了式だった。私が修士の頃は修了式は出ないのが当然だった(私の周囲では)ので時代が少し変わったのか。安田講堂の前で写真を撮ってる人達を見たら、博士の人だろうか、小さい子供を連れてる人達の姿も目立つ。そうか、修士は親連れで、博士は子連れか。そういえば私も修士を出たときは結婚前で、博士修了の時は子供がいたものな。そう考えれば、一般に学部生と修士学生は連続していて、修士と博士のあいだの方がむしろ断絶があるんだろうな。この日は例年そうなのだが、昼から夜までダラダラと酒を飲むので、量はそう多くないものの、アタマもカラダもボーッとしてしまう。昼は上野の某旅館で中華風会席。かつて(私が大学院時代)恒例として行っていた学士会館よりも当然だがはるかに上質なランチを堪能。日中は上着がいらないくらい暖かく、今年初めて春を感じる。夕方、某学術雑誌から某仕事(無給かつ匿名)の依頼を受けるが、断るわけにはいかない。が、返事は酔いが覚めてからにしよう。

3月23日(金)
 学部の卒業式。その後、研究室で謝恩会。前日同様、昼からダラダラと飲み、かつその回らないアタマで年度末の残務を処理する。さすがに二日続けてこんなだときつくなってくる。ともかく、卒業生の皆さん、おめでとうございました。みな就職先や進学先も無事に決まったようで何よりです。世の中の動向に反さず、うちの学科の就職状況も少しは改善している印象。

3月24日(土)
 赤羽公園で、地元の児童館の連合が主催のこどもまつり。まだ娘が見たことのない餅つきや綿菓子作りをやっていたので連れて行く。この公園にはけっこうホームレスの人達がいる。われわれのこどものイベントは、公園の一角をロープで囲ってやっている。セキュリティ上も、別にロープなんて張っても張らなくても同じだと思うのに、嫌な感じだ。子供を遊ばせている間も、「あちら」は「こちら」をどう見てるのだろうか、ということが気になっている自分がいる。私は弱い人間なので、このように露骨に並置される「二つの世界」のギャップに耐えられないのだ。同じ東京23区内でもいわゆる「郊外型の閑静な住宅地」にある公園では、おそらくこうした問題は生じないのだろう。瞳に一点の曇りもなく強靱な精神を持った健全な親子達が公園をのびのびと闊歩しているに違いない。だがそこで隠蔽、あるいは無いことにされる問題の方がよほど致命的だと私には思われる。娘には、少なくとも私と同程度には弱い人間に育って欲しいと思うのだ。そして今の時代、弱さを教えることは、強さを教えるよりもよほど難しいのではないか。

3月25日(日)
 地元で買い物や散歩。近くのショッピングモールにある「あらかわ丸」という子供の遊び場で娘が遊びたいというので同伴。こんな写真しかないので、リンクするのも嫌になるが、見たまんまの施設。トイレが付いてるというのが、正直驚きだった。季節外れの「サンタさんの手紙」を書くために、文具屋でカードを物色。娘が片付けるのを嫌がって「いらない」と捨ててしまったおもちゃを、しばらく物置部屋に隠しておいたために、サンタさんがそれらを外で拾ってきて届けに来る、という設定で季節外れのサンタ・プレイをやるはめに。この時期サンタのカードが売ってるはずもなく(一種類くらいは一年中売ってると思っていたが)それっぽいカードを買ってきて父親が平仮名だらけだが結構長文の説教臭い手紙と「おもちゃをたいせつにしようね」とふきだしが付いたサンタの絵を描いて完成である。

3月26日(月)
 本郷。今日は増田君達と新宿で飲む計画をしていたのだが、急遽中止になって残念でした。まあ明日も飲む予定なので、今日はおとなしく帰るのが吉か。

3月27日(火)
 所用により午前中から家族で外出。昼ご飯は最近地元の奥様方に評判の「たくみ」ろまん亭に初めて行ってみる。かき揚げ丼と半田麺のセットが絶品。ランチタイムはサラリーマン集団で賑わっており、赤羽って結構会社が多いんだなーと思う。その後、相方が服を買うのに付き合った後、娘と昨日から約束していた「アンパンマンのあんパン」を食べさせに、アピレ地下のウエストンに向かうが、何といきなり閉店してました。困ったな。この店基本的に埼玉中心で都内にはあと蒲田にしかないんだよな…。アンパンマンのパン(中身は何でもいいんで)売ってるお店、どなたか他に知りませんか? 仕方ないので別のカフェにいく。散歩中、まるます家の前を通ったら、久しぶりに会った女将さんに「そういえばこの前お父さん来たわよ、二回ほど」と言われる。一回は聞いていたが、どうやら親父が私に内緒でまた飲みに来てたことが発覚。夕方から早稲田で来年度の授業の打ち合わせ。文学部はすべての建物を建て替え中で、一緒に授業をする酒井先生の研究室はプレハブのなか。弟が早稲田の哲学科の出身なので当然だが、先生を知っているとのこと。また酒井先生の師匠である(と今日お聞きした)中世哲学研究者・小山宙丸氏は、早稲田の総長も務めた人だが、うちの近所(北区岩淵町)の小山酒造がご実家で、兄弟が酒屋の社長。色々と不思議な縁だ。打ち合わせ後は、極上の和食と日本酒を頂き、久しぶりに心底酔う。あと今日この本を買った。第三弾も出るらしいので楽しみ。