私の一週間(7/24-7/30)

7月24日(月)
 本郷。朝、乗ろうとしたら自転車がパンクしてる。上野公園の脇に二晩も停めておくんじゃなかった。雨を避けて停めて置いた自転車は知らぬ間に移動されて、その場所には万物の霊長なる者が寝ておりました。自転車は、わが研究室が誇る「何でも屋」に急遽「森サイクル」を開業してもらい、即日廃業の危機を何度ものりこえながら、直してもらいました。蒸し暑い中、図書の箱詰め作業第二回。暗くなる前には家に帰れたので、例によって散歩がてらビールを買いに行く。最近、異常な速度でビールを消費してます。あと増田くんの新著『聴衆をつくる』が届きました。相変わらずすごいエネルギー(男力)ですなあ。「愛着は愛ではない」をテーマにした序章は、すべてのブンガクブ系研究者必読かと。

7月25日(火)
 多摩美の最後の授業。これでようやく夏学期の全講義が終了! 正直疲れたす。二限の授業の学生発表には本江邦夫先生にも来ていただきまして、たいへん恐縮でした。昼食後、すぐに帰ったので、四時頃には家に到着。妻と娘はリトミック教室の後、お友達とまるます家で食事をしたとのことで、ならばこちらもと、一杯ひっかけに一人で出かける。いやー、明るいうちからカウンターで飲む、グラスまで冷えた生ビールのうまいこと。夏到来を実感。ちなみにこの店は小生(大きさは中だが)が350円。こちとら未来永劫、生ビールが300円代で飲めない街には住むつもりはない。夜はドラゴンズが勝ったせいもあり、全スポーツニュースをはしご。缶ビールがいくらでも飲めます。論文は英語要旨を仕上げて、めでたく脱稿! そういえば先週金曜日の新人演奏会、作曲賞は該当者なしだったみたいです(http://www.symphony.or.jp/v_genon_2006.html)。

7月26日(水)
 本郷。図書の梱包作業の続き。あわよくば最後にしようと思ったのだが、全部は終わらず。手伝ってくれた学生達の労をねぎらおうと思い、お中元にもらったビール(私が日頃飲まないスーパードライ)を持っていったのだが、本当の打ち上げは延期に。だが、あまりの暑さに作業終了後、みんなで缶をあけてしまう。劣悪な研究室の冷蔵庫に入れていたので、ビミョーに冷え切っていないが、またそれも風流。日の長くなった夏の夕方、ダンボールで居場所がなくなったゼミ室、疲れ切った体(とくに実働してくれた学生達は)、それとは裏腹に冴えわたる議論、とても印象的な一時になった。それとはまた別に夜は授業の打ち上げで、しかも帰りたくない三年生に連れ回される格好で二次会に(ほとんどオヤジ狩り)。地下鉄がなくなったので、上野まで歩いてJRで帰る。泥酔した博士課程の院生(番長M上氏)はさらにどこかに連れて行かれた模様。酒は飲んでも飲まれるな。

7月27日(木)
 本郷。除湿器を入れる工事に立ち会う。この除湿器、一日中回して電気代が一ヶ月で10円かそこらというのだが、本当にそんなに安いのか? こういうのは反証できないから業者のいいなりではないのか。その後は久しぶりに一人で静かな研究室なので、集中力が要求される仕事をまとめてこなす。両サイドにスピーカーを配置して、仕事机のオーディオ環境を多少整える。今のようにPCやディスクマンからつないでもいいのだが、そろそろiPodなどを買うかと思案中。授業で音を出すときに使えるなら今日にでも買うのだが、どうしても機材配線上、CDから鳴らすのが便利なので(とくに私のようにあちこちの大学で授業してると)、いまいち踏ん切れない(あと製品を調査・比較する時間がない)。

7月28日(金)
 家族で上野動物園に行く。家から三十分足らずで行けるのだが、実は家族で行くのは初めて。夏休みながら平日であることと暑すぎない曇りの天気であることから本日に決定。上野公園といえば私の幼少期の思い出は傷痍軍人だ。西郷さんに続く階段に座って小銭が入った缶をおいてアコーディオンを弾いている機械の手足の老人達の姿は、あれから三十年近くたった今でもなお鮮明である。父に手をひかれた男の子が怖々と見つめた彼らの姿は、もはやない。そこでも一つ、戦後が終わったのだ。いまや娘の手をひくようになった父親の目に、代わりに入るのは上野の森の居住者達である。彼らはかつてそこにいた傷痍軍人と何らかの連続性を持っているのだろうか、とふと考える。さて、娘の眠気を何とかごまかしながら、パンダ、象、ライオンと最低限目標にしていたデカキャラ達を一応全てクリアしてから、キリンをみながら娘はお昼御飯。退場後、蓮と骨董市を見物し、弁天堂でお参り。わしたショップに寄ってオリオンビールを歩き飲みしながら、われわれの昼御飯は育児真っ最中の女性の観点で「日頃絶対に食べないもの」というリクエスト。迷わず昇龍の中華に決定。帰宅後、娘を早々と風呂できれいにし、一緒に昼寝。晩はナイターをみる。めちゃくちゃ「夏」な一日だった。

7月29日(土)
 社会学・ポピュラー音楽研究の小川博司さんの娘・響子ちゃんの初リサイタルを見に四谷に。もともと嫁さんが仲良しだったのだが、数年前の夏、新野の別荘にお邪魔させてもらって以降、家族ぐるみでのお付き合いが続いている。私と小川さんは学会などで顔を合わせることがあるが、家族が揃うのはこっちに子供が生まれてから初めて。響子ちゃんはミュージカル歌手を目指して、大阪音大で声楽を専攻中。好きこそものの何とやらというが、本当にミュージカルが好きなんだろうな、と思えるいきいきした歌いっぷり。いつのまにかこんなに本格的な「歌姫」に成長していたなんて、と嫁共々びっくり。初志貫徹して欲しいものです。出演者の親族が中心の打ち上げにも短い時間ですが参加させてもらいました。帰宅後、風呂に入れているうちに娘は寝出す。夕飯も食べずにそのまま布団へ。

7月30日(日)
 一昨日の動物園、昨日のライブと食事会で情報量がキャパをこえてしまったようで、娘が知恵熱を出す。とはいえ、二度寝して昼に起きてからは、額に冷えピタを貼りつつも、いたって元気満々。一日家にいれたので前期の成績を付ける。レポート、テスト、レスポンスカード、出席表を机に並べて付けていく。大学によっては素点を一点刻みで付けるところもあるし、古典的な優良可不可の四段階(こっちの方が付けやすいことは言うまでもない)もあるし、郵送でなくウェブ上で入力のところもある。大学の単位など「甘く付けておけば誰も損しない」のだから、「あえて客観的に評価する」努力の意義は一体どこにあるのか? それは自らの職業使命観や学生に対する誠実さ、というたかだか倫理的価値しか持たないのか?と毎回の自問自答。評価の技法に関して教師が評価される機会があれば面白いのに。